タグ付きPDFとは──見た目では分からない文書構造の話
タグ付きPDFとは
タグ付きPDF(Tagged PDF)とは、文書の論理構造──どこが見出しで、どこが段落で、どこが表なのか──を内部データとして持つPDFのことです。タグは画面には表示されませんが、スクリーンリーダーなどの支援技術はこのタグを頼りに文書を解釈します。
HTMLに例えると分かりやすいでしょう。Webページが h1 や p や table といった要素で構造を表現するように、PDFも内部にタグツリーを持つことで構造を表現します。
タグが無いとどうなるか
タグの無いPDFでは、スクリーンリーダーは文字の配置から読み上げ順を推測するしかありません。その結果、次のような問題が起こります。
- 2段組のレイアウトで、左右の段の文章が交互に読まれてしまう
- 見出しが本文と区別されず、文書の構成を把握できない
- 表が「ただの文字の羅列」として読まれ、行と列の関係が失われる
- ヘッダーや装飾テキストが本文に混ざって読まれる
タグが失われる典型的なパターン
制作段階ではタグを意識していても、次のような工程でタグが失われる、または壊れることがあります。
| パターン | 起こること |
|---|---|
| 画像として書き出し | ページ全体が1枚の画像になり、テキスト情報自体が消える |
| 印刷用データの流用 | 印刷所入稿用のPDFにはタグが含まれないことが多い |
| PDF結合・分割ツール | ツールによってはタグ構造を保持しない |
| 古い変換ソフト | タグ出力に対応していない、または不正なタグを出力する |
「元データはきちんと作ったはず」というPDFでも、公開されている実ファイルにタグがあるかどうかは、内部を確認しなければ分かりません。
確認するには
Adobe Acrobat などのPDF編集ソフトではタグパネルからタグツリーを確認できます。ただし、数十ページの文書のタグを1ページずつ目視確認するのは大きな負担です。自動診断では、タグの有無・構造の問題をページ単位で一覧化できるため、修正箇所の特定と優先順位付けを効率的に進められます。