Acrobatアクセシビリティチェッカーで確認すべき項目【全項目解説】

Acrobat Proのアクセシビリティチェックを実行すると、数十件の結果が並びます。それを見て途方に暮れるのは、誰もが通る道です。 この記事では、チェック項目を「何を検出しているのか」「どのくらい重大か」「どう対処するか」の観点で解説します。結果画面と照らし合わせながら読んでください。
※ 項目名・メニュー位置はAcrobatのバージョンとUI刷新で変わります。お使いのバージョンで名称が異なる場合は、相当する項目に読み替えてください。
この記事で分かること
- チェックの実行手順とレポートの読み方
- 各項目の意味と重大度
- 「要手動チェック」項目の確認方法
- 全項目合格でも残る課題
実行手順
- Acrobat ProでPDFを開き、「すべてのツール」からアクセシビリティ関連ツール(「アクセシビリティを準備」または「アクセシビリティを設定」。バージョンにより名称が異なります)を開きます。
- 「アクセシビリティをチェック」を実行します。チェックオプションは基本的にすべてオンにして実行します。
- 結果がパネルにカテゴリ別ツリーで表示されます。
レポートの読み方と4種類の結果
| 表示 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 合格 | 機械検証で問題なし | — |
| 不合格 | 機械検証で問題を検出 | 修正する |
| 要手動チェック | 機械では判定できない | 人が確認する(スキップ禁止) |
| スキップ | チェック対象外に設定した項目 | 設定を見直す |
ありがちな誤りは「不合格をゼロにして終わり」にすることです。「要手動チェック」の2項目(読み上げ順序・色のコントラスト)こそ、文書の使い勝手を左右します。
カテゴリ別・項目解説
文書
| 項目 | 検出内容 | 重大度 |
|---|---|---|
| アクセシビリティ権限フラグ | セキュリティ設定が支援技術のテキスト抽出を禁止していないか | 高 |
| 画像のみのPDF | スキャン画像だけで文字情報がないか | 高 |
| タグ付きPDF | タグが存在するか | 高 |
| 論理的な読み上げ順序 | 要手動チェック(後述) | 高 |
| 主言語 | 文書の言語が設定されているか | 中 |
| タイトル | 文書タイトルの設定と表示設定 | 中 |
| しおり | 一定ページ数以上の文書にしおりがあるか | 中 |
| 色のコントラスト | 要手動チェック(後述) | 中〜高 |
ページコンテンツ
タグ付けされていないコンテンツ、タブ順序、文字エンコーディング、その他(マルチメディア、点滅、スクリプト、時間制限など)を検出します。実務で頻出するのは「タグ付けされていないコンテンツ」(タグ漏れ)と「タブの順序」(リンクやフォームの移動順)です。
代替テキスト
- 「図の代替テキスト」: Figureタグに/Altがあるか。よく出るうえに重大度も高い項目です。
- 「その他の要素の代替テキスト」「ネストされた代替テキスト」「コンテンツに関連付けられている」: 代替テキストの構造上の問題。自動修正ツールの誤操作で発生しがち
注意: このチェックは「代替テキストがあるか」しか見ません。「内容が適切か」は人の確認が必要です。
表
見出しセル(TH)の有無、行・列の規則性(各行の列数が揃っているか)、概要の有無を検出します。セル結合の多い複雑な表は、ここで不合格が集中します。 修正が難しい場合、表の設計自体の単純化を検討してください。
リストと見出し
リスト構造(L/LI)が正しいか、見出しが適切にネストされているか(H1→H3のような階層飛ばしがないか)を検出します。階層飛ばしは、元データ(Word・InDesign)のスタイル運用を直すのが根本対策です。
「要手動チェック」2項目の確認方法
論理的な読み上げ順序
- タグパネルでタグの並びを目視確認する(誌面の意味の順と一致しているか)
- できればスクリーンリーダー(無料のNVDAなど)で通し聞きする(→ 「PDFのアクセシビリティチェック方法まとめ」の段階4)
色のコントラスト
- 本文・見出し・図中の文字について、文字色と背景色のコントラスト比を確認します(WCAG AA の目安: 4.5:1、大きな文字は 3:1)
- 無料のコントラストチェッカー(カラーピッカー型のツール)で計測できます
修正の優先順位の付け方
すべてを同時に直す必要はありません。目安は次のとおりです。
- 文書全体を無効にする問題から: 権限フラグ、画像のみのPDF、タグなし
- 内容が伝わらない問題: 読み上げ順、代替テキスト、表の構造
- 使い勝手の問題: タイトル、しおり、言語、リンク
- 仕上げ: リスト・見出しのネストなど構造の整合性
全項目合格でも完全対応とはいえない理由
このチェッカーは強力ですが、内容の妥当性は判定できません。「画像」とだけ書かれた代替テキストでも、意味不明な順序で並んだタグでも(存在してさえいれば)合格し得ます。合格は出発点であり、重要文書では手動確認・実機確認を組み合わせてください(→ 「PDFのアクセシビリティチェック方法まとめ」)。
次の一歩
- 検出されたエラーを直す → 「よくあるPDFアクセシビリティエラーTOP10と修正方法」
- チェック全体の設計 → 「PDFのアクセシビリティチェック方法まとめ」
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